ぐるぐるぐるめ♪

栃木県産。東京→奈良→静岡→ふたたび東京、たま〜に海外旅行、食べある記。10年以上書いてますので、すでに閉店しているお店もありますがご容赦を。

イギリス旅行記 巡礼の旅 前編

ウェストミンスター寺院

11世紀のゴシック建築ウェストミンスター寺院

ウェストミンスター大聖堂(ネオ・ビザンティン建築

セント・ポール大聖堂(1981年にチャールズ王太子及びダイアナ元妃の結婚式が行われた場所)

カンタベリー大聖堂世界遺産


イギリス旅行スケジュールを眺めつつ
「これは巡礼の旅か。」
と、思ったくらい、改めて見ると今回の旅は寺関係が多い。(寺?)


ウェストミンスター大聖堂内部は美しいモザイクで飾られている。
その美しさに、思わずつい、「写真撮影してもいいですか?」と
牧師さんに聞いたところ(きっとダメだろうな〜)


どうぞどうぞどうぞ!撮ってらっしゃい見てらっしゃい〜


みたいなノリでニコニコしてくださったので(ラテン?)
お言葉に甘えて撮影。イギリスを旅行していて感じた事の1つは、
日本だったら写真撮影禁止であろう場所、絵画がかなりの範囲、撮影OKだったこと。
なんと寛容な文化。
(でも、敬虔な教徒の方々が祈る場所や、王室の宝物はNG。セントポール大聖堂も内部は撮影NG)


天井から差し込む光の加減も計算して建築されているのだろうな。

さっきまで二階建てバスや車のたくさん通る道路にいたことを忘れる別世界だ。時が止まる。

ここにたくさんの人々がお祈りに来たのだろう。。。


おや?大聖堂の中が、少しずつ人が増えて来ている。
どうやらミサが始まるらしい。
部外者の私たちが、見学していてもいいのかな?と、一瞬躊躇しましたが、
賛美歌の歌詞の書かれた紙を配りに来たスタッフの方が
「もうすぐ朝のミサが始まりますよ」とにっこり笑って目の前に歌詞を置いたので
お言葉に甘えてそのまま待つ事に。



白いガウンを着た聖歌隊の方々の歌声。背中が震えてしまった。
数人でこんな声が出せるという事はプロの方々なのかな?
光の中でドーム型の天井に吸い込まれて行く賛美歌の旋律。
ドーム型なのが、ますます歌声の響きの効果を高めているのかもしれない。


これはすごい。
大聖堂の近所の人々は、こんな体験を普通にできるなんて。
さっきのラテンのノリから打って変わり、牧師さんが静かに人々に向かって話し始めた。


ちょっとここで、映画の話になります。
「彼女と博士のセオリー(原題 The Theory of Everything)」というイギリスの映画があるのです。
【映画パンフレット】 博士と彼女のセオリー


これは車椅子の物理学者ホーキング博士と、献身的に博士を支えた妻のストーリーなのですが、
妻が、夫(博士)の介護と子育てを一人で背負い込んで、てんてこ舞いの生活をしていたのですね。
そんな妻に、母親が助言するのです。


「週に一度、教会の聖歌隊に参加しなさい」


もしも、私がロンドンでミサを見学していなかったらこう思うだろう。
「いったい何を言っているの?介護士や看護師やお手伝いさんを雇うとか、もっと具体的な助言をすればいいのに」と。
けれども、今なら良くわかる。


せわしない日常を離れ、静かに心をみつめれば、おのずと最善の策が浮かぶだろう。
たとえどんなに他人が素晴らしい助言をしたとしても、自分の心が納得しなければ、意味は無い。
ミサを見ていてそう感じた。こんなに落ち着ける非日常空間は今まで見た事がない。


この大聖堂には、塔の上まで上がれるエレベーターがあり、
そこからはロンドンの街が一望できるのです。

不思議な。。。日本人の私の目から見るこの街は不思議な、奇跡の街だ。
新しさと古さが同居している。
街のあちこちで工事をしている。古い建物をメンテナンスしているのか、
新しい建物を建築しているのか。

たとえば、こんなふうに、百年単位の古い建物と現代の建物が隣り合わせに建っている場所もある。

でも、全体として古い街並が残っている。
明治時代に留学した夏目漱石と、基本的には同じ風景が見られるのではないか。

百年前の家並みなんて、ねえ。。。長く残る石の文化というのもあるだろうけれど、
日本では考えられない。


それは、最終日にテートモダン(国立近現代美術館)に行ったときも思ったのだけど、
前衛的な建築の美術館を背に、ふと振り返れば


テムズ川の対岸に古い街並。


テムズ川沿いにあるロンドン・アイ。

古い街並に、現代的な観覧車が、あるかと思えば
すぐそばに、有名なビックベン。


いったいどなたのお屋敷かと思ったら、政府関係の建物らしい。


ロンドンは、震災や、噴火や、津波や、大空襲で、
更地(ゼロ)からの復興が無かったので少しずつ、少しずつ街が変化して行くのかな。



ロンドン、幸福な街だ。いや、イギリス全体がそうなのか。




画像1:セントポール大聖堂のストーンギャラリーより

画像2:セントポール大聖堂のストーンギャラリーより


ふと、日本の私の住む街が心に浮かんだ。
今度のオリンピックは、東京にとって良い機会だな。
全てが無くなる震災でもなく、空襲でもなく
古いものを壊さずに、少しずつ街を変えて行くチャンスだ。
ロンドンのように。





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